配偶者や子ども、親等と同居している家事従事者が、事故のケガで家事に支障を生じた場合の休業損害については
「賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎として、受傷のため家事労働に従事できなかった期間につき認められる」
とされます。
要するに、主婦は、働いている女性の平均の賃金と同程度の働きをしているものとみなす、ということです。
ちなみに、平成24年の賃金センサスによれば、産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額は、年額354万7200円です。
よって、例えば、主婦の方が怪我により30日間入院して家事が出来なかった、というケースにおける休業損害は
354万7200円÷365日×30日=29万1550円
となります。
「夫のために家事をしている妻」はもちろん、「妻のために家事をしている夫」や、「介護を要する親のために二人で暮らして家事をしている長男」、といった方々も「家事従事者」として認められます。
主婦の方も、子育ての負担が軽くなると、家事の傍らパートなどをされる方が多いですが、そのような方については
「パートタイマー、内職等の兼業主婦については、現実の収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として算出する」
とされます。
例えば、パートで年額150万稼いでいて、家では家事もされているという場合、女性労働者の平均賃金(年額354万7200円)の方が高いので、年収354万7200円とみなす、ということです。
主婦(主夫)の休業損害については、加害者側保険会社の提示額と、裁判基準の正しい賠償額が大幅にかい離していることが多く、被害者本人が保険会社と交渉しても、正しい賠償額を獲得することは困難です。
その意味で、弁護士依頼をする意義が大きい争点であると言えます。
例えば、当事務所の取扱事例でも、
保険会社の当初の提示額「約34万円」→弁護士介入後の解決額「約118万」
等々があります。
なお、主婦の休業損害については、サラリーマンの休業損害のように、現実に給料が減っている訳でもありませんので、一義的な計算は困難です。
例えば、主婦の方がむち打ちで6ヶ月通院している場合、「6ヵ月間全く家事が出来なかった」ということは考えにくく、特に通院の後半ころは、支障はありながらも一定の家事はしていると思われます。
その意味で、「○月~○月までの期間は、家事に○パーセントの支障があった」というような割合的認定を行うことになります。
例えば、「頸椎捻挫」、「腰椎捻挫」等により、275日に渡り通院した(実際に病院に行った日数は200日)Aさんの事例を見てみましょう。
この方は、兼業主婦でしたが、パートの収入は低かったため、主婦を前提とした休業損害を主張し、訴訟提起した結果、判決により
「基礎収入年額348万9000円」(平成21年の女性平均賃金)、
「最初の2ヶ月間は全部休業、その後の7か月間については2分の1の休業」、
を前提として、休業損害「159万9125円」の認定を受けることができました。
このように、主婦の方の「むちうち」事例でも、高額の休業損害を認定されることがありますので、事故で傷害を負われた主婦の方は、是非、弁護士に相談してみてください。
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