法定相続の項目でご紹介した例では、故人の遺産である土地について、故人の妻が2分の1、長男~三男がそれぞれ6分の1の割合で「共有」をしていました。
とはいえ、「共有」の土地というのは、非常に使いにくいものです。
そこで、いずれは、「共有」の状態を解消し、もっとすっきりした分割のやり方を考えなければなりません。
これが「遺産分割」というものです。
遺産を「共有」している相続人達は、いつでも「協議」により遺産分割をすることができることになっています(民法907条1項)。
そのやり方としては、「現物分割」「換価分割」「代償分割」などがあると言われています。
現物分割 | その名の通り、A土地は妻に、B土地は長男に、という具合に現物で分けるやり方です。 |
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換価分割 | 財産をお金に換えて分けるやり方です。 |
代償分割 | 財産を誰かが取り、その代償として他の相続人達にお金を払うやり方です。 |
上記のご紹介した設例では、土地が一つしかないので「現物分割」は難しく、「換価分割」又は「代償分割」のやり方をとることになるでしょう。
さて、「遺産分割」を行うときに、しばしば面倒な問題となるのが「特別受益」と「寄与分」です。
「特別受益」とは、例えば、上記のご紹介した設例で、故人が生前に長男に対し多額の生前贈与をしていた等の場合に、その分だけ長男の取り分が減るという制度です。
「寄与分」とは、例えば、上記のご紹介した設例で、長男が故人のしていた事業に協力して故人の財産を増やしていた等の場合に、その分だけ長男の取り分を増やすという制度です。
上記のような長男の「特別受益」と「寄与分」が両方ある場合、長男の具体的な取り分がどうなるかをめぐっては、なかなか計算が難しくなり、そう簡単には話し合いがつかなくなることでしょう。
このように、「特別受益」や「寄与分」の件が問題になるなどして、相続人間の話し合いがつかない場合には、家庭裁判所の「調停」を検討することになります。
「調停」では、有識者である「調停委員」の方々が議論を整理して、当事者達を説得してくれるので、合意が成立する可能性はいくらか高まります。
それでも、どうしても合意ができないときは、裁判所の「審判」により決着をつけることになります。
「特別受益」、「寄与分」の計算は、一般の方々にはなかなか難しいと思います。
話し合いがこじれて家庭裁判所の「調停」や「審判」になりそうな場合には、一度、専門家である弁護士にご相談いただいた方が良いでしょう。
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