後遺障害として、いわゆる遷延性意識障害など、生涯にわたり介護が必要となる場合がありますが、このような場合には、事故時の賠償として「将来介護費」を請求することが出来ます。
被害者の将来の死亡までの期間、ずっと必要となる介護費用について、事故時にまとめて請求することを認めるものです。
赤い本によれば
「医師の指示又は症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認める。」「職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8000円。但し、具体的看護の状況により増減することがある。」
とされています。
ここでは、高次脳機能障害により後遺障害等級別表1の2級が認められたAさん(70歳)の介護費用を考えてみることにしましょう。
Aさんについては、近親者である息子さんが介護をしているので、仮に妥当な介護費用を日額8000円とした場合、Aさんの死亡までの日数に8000円を乗じるという計算になります。
70歳の方の平均余命については、厚労省の統計により「14年」とされておりますので、この期間を元に介護費用を計算します。
もっとも、「将来介護費用」については、「遠い将来発生するお金を現時点でまとめて受け取る」という性格を有するため、単純に日額と期間を乗じた金額を払ってもらった場合、これを定期預金や国債等により運営することで「もらい過ぎ」という事態を招いてしまいます。
そこで、「将来のお金を現在受領する」にあたり「その期間中の利息を差し引いて調整する計算」を行う必要があります。
具体的には、当該期間、例えば、「14年」であれば「9.899」という、ライプニッツ係数を乗じて調整することになります。
以上より、Aさんの将来介護費用は、差し当たり
日額8000円 × 365日 × 9.899(14年に対応するライプニッツ係数) = 2890万5080円
という計算となります。
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