交通事故の法的手続きのうち、被害者に関連のあるものとしては、「民事」と「刑事」の手続きがあります。
「民事」とは、被害者が交通事故で失ったもの(財産)について加害者が補償するかどうかという、「被害者と加害者の間のお金の問題」です。
当サイトでは、主に「民事」の手続きについて説明しています。
一方、「刑事」とは、国が、事故を起こした加害者に対して制裁(刑罰)を加えるかどうかという、「国と加害者の間の処罰の問題」です。
交通事故で被害者に怪我をさせた加害ドライバーは、「刑事」の手続きでは「自動車運転過失傷害罪」あるいは「危険運転致傷罪」といった罪に問われます。
担当の警察署が事故の状況や加害ドライバーの言い分などを捜査し、検察庁に事件を送ります。
検察庁では、加害ドライバーがどの程度悪質であるか等々を考慮して、ドライバーを「不起訴」にするか、「略式裁判」にかけるか、「正式裁判」にかけるか、を決定します。
「不起訴」の場合、加害ドライバーは裁判にかけられることはありません。
「略式裁判」では、書類だけの手続きにより、加害ドライバーに「罰金」の刑が科されることになります。
「正式裁判」では、裁判所が加害ドライバーを法廷に呼び出して審理を行い、事故の悪質さや反省の程度等々を考慮して、「罰金」、「禁固」、「懲役」のどの刑罰にするかを決定します。
「禁固」や「懲役」は、刑務所に送られる重い刑罰ですが、交通事故の加害者は故意に人を傷つけているわけではないので、「執行猶予」すなわち「一定期間悪いことをしなければ刑務所に行かなくて済む」という条件付きの判決になることが多いでしょう。
加害ドライバーの「刑事」の処分を決めるにあたっては、検察庁等で被害者の意見を確認し、一つの判断材料とします。
もし、加害者に「賠償しよう」という誠意が全く無いのであれば、その旨を検察官に説明して、刑罰を重くする方向の事情にしてもらってもよいでしょう。
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