40代男性
「先日、車で国道◯号線の○○交差点を直進していたら、対向車線から右折してきたトラックと衝突してしまい、当方の車が全損になり、私もケガを負いました。この場合の過失割合はどれくらいですか。」
「いわゆる右直事故ですね。○○交差点は信号があると思いますが、事故の時の信号はお互い青だったんですか。」
「はい。それは間違いありません。」
「道路交通法第37条によれば、交差点で右折する車両は、その交差点で直進しようとする車両の進路妨害をしてはならないとされています。ですので、右直事故は、基本的には右折側が悪いということになります。」
「とはいえ、直進車側にも交差点に進入する際に、対向右折車がいないか特に注意してできる限り安全な速度と方法で走行する義務があります(道路交通法第36条第4項)。」
「従って、基本的に右折側が悪いが、直進車側も多少は悪いということで、
右折側 8割 : 直進側 2割
という基本過失割合になっています。」
「基本過失割合というのは、変更の余地はないのですか。」
「いえ、右直事故と言ってもいろいろありますので、具体的な事情を反映させるための『修正要素』というものが設けられています。」
「相手方のトラックは、右折するとき、全然徐行せずに突っ込んできたので、こちらも回避できなかったんです。こんな場合は相手が悪くなるんじゃないですか?」
「そうですね。右折側が『徐行なし』で右折してきたときは、右折側の過失が1割増えることになっています。」
「そうすると、相手の過失が9割で、私の過失は1割だけですね!」
「ただし、この場合の右折車の『徐行なし』とは、一般的に法律で要求される徐行(=時速10キロ未満)とは別ものであり、『右折車として通常の速度を超える速度で走行したこと』と考えられています。右折車の速度が時速20キロくらいだと、裁判所は『徐行なし』の修正をしてくれない場合が多いようです。」
「相手方は時速20キロ以上は出していたような気がするんですが…」
「そのあたりの立証はなかなか難しいですが、相手方が警察に対してどのように供述しているかもポイントになるでしょうね。」
「あなたはケガをされているということなので、警察としては過失割合の高い相手方を刑事事件として取り調べていると思います。相手方が罰金刑にでもなれば、刑事事件の記録を一通り見ることができるので、刑事事件の処分がどうなったかを警察に問い合わせた方が良いかもしれません。」
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